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- 国内シェアトップのメーカーが考えた最新の介護・自立支援の浴室設備「wells‐ウェルス‐」
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積水ホームテクノ株式会社
人手不足や重労働など、介護の現場が想像以上に過酷だというのはテレビでもたびたび特集されていますが、高齢化社会が進み介護施設やケアハウス、高齢者施設が増えるなかで浴室をはじめとする設備も進化しています。 今回は、その介護現場の最前線を知るべく、【「お風呂」から始まる、豊かな暮らし】をコーポレートブランディングに掲げる積水ホームテクノさんの介護・自立支援設備「wells‐ウェルス‐」のショールームに伺い、最新の設備や工夫を取材してきました。
2021.10.07
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PRISM取材体験記
▲今回取材協力頂いた、西新宿にある積水ホームテクノさんのショールーム
介護って、本当に大変です・・・。
人手不足や重労働など、介護の現場が想像以上に過酷だというのはテレビでもたびたび特集されていますが、高齢化社会が進み介護施設やケアハウス、高齢者施設が増えるなかで浴室をはじめとする設備も進化しています。
今回は、その介護現場の最前線を知るべく、【「お風呂」から始まる、豊かな暮らし】をコーポレートブランディングに掲げる積水ホームテクノさんの介護・自立支援設備「wells‐ウェルス‐」のショールームに伺い、最新の設備や工夫を取材してきました。
ハードな現場なのに人材不足!?介護は日本全体の問題です
皆さんご存知のように日本では高齢化社会が進み、介護施設は約30年前からずっと右肩上がりで増え続けています。初期の頃に建てた施設は最近になって改修時期を迎えていて、特に利用頻度の高い浴室などはこの機会に入れ替えを検討している施設が多いそうです。
ハードな仕事で知られる介護の仕事の中でも入浴介助は特に重労働で、「利用者を介助する際に腰を痛めてしまった…」という話はよく聞きます。要介護者の増加に伴い、介護業界で働く人の人材不足は業界だけでなく日本国内全体の問題となっており、人材の確保や働く環境の整備という側面からも、浴室のリニューアルは注目されています
これはすごい!イスに座ったまま入浴?!
▲左側のピンクのイスと、奥にある浴槽の左側のピンクの板の部分が連結して、イスがスライドしてイスの背もたれごとそのまま入浴できる!!何という画期的な発明!背もたれもウレタン状になっていて、濡れても滑らず錆びず、全く問題ないつくりになっている
そんな環境の中、積水ホームテクノさんは「介護施設で働く人たちの重労働を解消したい」という思いで介護・自立支援設備「wells‐ウェルス‐」を開発したそうです。
年々、入浴介護を必要とする利用者が増え続ける中、とはいえデイサービスを利用されている高齢者の自宅には介護用機能が備わったお風呂がなく、施設で入浴を済ませているご家庭も多いのではと思いますが(実際に私の親も施設で入浴しています)、「wells‐ウェルス‐」の浴室は、介助者、介護を受ける人のどちらにも安心安全かつ便利に、利用者の一人ひとりの身体状況に合わせた自立支援と介助作業を行えるよう、さまざまな創意工夫が施されていました。
まず驚いたのが、移動式の介助用イスに座ったままで入浴できるリフト機能付きイス・浴槽システムです。
「wells‐ウェルス‐」ではこのリフト機能付きイスの併用で、自立支援が必要な、程度の軽い方から重度の要介護者まで、介護が必要な全ての利用者が一か所の浴室で対応できるようになります。
wellsリフトキャリーを使えばイスから立ち上がることなく、浴槽とイスを連結することで座ったままで入浴が行えるようになるほか、天井釣りや支柱式のリフトもあり、車いすからの移動を一人の介助者のみで可能としてくれます。
手すりや浴槽の位置も自由自在!使う人に合わせたきめ細かな心配り
▲横に設置された手すりがレールとなり、縦の2本の手すりが自由に左右に動かせる。浴槽の移動位置に合わせて自在に調整可能。
浴槽に移動する際に重要となる手すりも、「wells‐ウェルス‐」は一部が移動式になっています。利用者の体格や身体状況に最適な位置に手すりを設けることができるので、介助負担が軽減されるほか、利用者にとってもより安全に入浴できるような配慮がされています。
▲手すりのカラーラインナップも4色用意。壁の色合いと一番異なる色を選び、色覚差をつけることで目立たせる工夫が光る。
また、手すりには4色用意されていたのですが、これはデザイン面だけでなく利用者の色の認識能力に合わせて壁と手すりでコントラストを変えられるようにし、目立つ色合いを組み合わせられるようになっている点も細心の配慮を感じました。
移動できるのは手すりだけでなく浴槽の位置も変えることができる点も見逃せません。浴槽横の床板が外れるようになっていて、利用者の状態に合わせて浴槽を左右に移動させて台を作ったりとレイアウト変更ができます。
浴槽の位置に合わせて移乗台も変えられるので、さまざまな移動手順に適応することが可能なうえ、移乗台は簡単に取り外せるため掃除も手軽に行うことができます。
▲浴槽横の床板が外れるようになっており、浴槽の移動が自由自在。
▲浴槽を右に寄せ、左側に広めの台を設けた形にレイアウト変更。女性でも軽々移動できたのは驚き。
知ってました?浴槽の底と浴室の床って高さが違うんです!
取材している中で、担当者の方に言われて気づいたのですが、一般的なシステムバスでは浴槽の座面と浴室の床は高さが違うらしく、これが転倒の一因になっているとのことでした。皆さん知っていましたか?(私は気づいてもいませんでした…)この2つの高さを揃えるとともに、浴槽自体には出入りの安全性に配慮し、浴槽に入る際につまづいたり、足のつま先をぶつけて転倒しないよう、浴槽外側の下部には凹みを設けています。
くぼみがあることで、浴槽をまたぐ幅を狭くして転びにくくしたり、浴槽の厚みを薄くすることで、浴槽の出入りの際に同じように利用者のまたぎ幅が少なくて済むよう設計されていたのにも工夫を感じました。他に浴槽で印象的なのは、縁の深いグリップです。3方向で握れるようになっており、浴槽内での姿勢保持だけでなく浴槽への出入りや立ち上がりやすくなると感じました。
▲浴槽の下の部分にくぼみが。跨ぐときにこのくぼみにつま先を入れると跨ぐ幅が狭まり思った以上に跨ぎやすい。
▲写真だとわかりにくいが、浴槽の座面と浴室の床面の高さが同じ。実際跨いだときに自宅の浴槽との違いに気づいた。
浴槽以外でも、利用者が寝た状態で上を向いた時に眩しくないように天井のライトがすべて外(壁側)に向けられていたり、洗面台がシーンに応じて折りたためるようになっていて、転倒防止や作業空間の確保に対する細かい配慮が感じられました。
さらには、2つのユニットバスを連結することも可能で、実際にショールームで見せてもらいましたが、このアイデア自体「一人の介助士が複数人を見たい」という介助の現場で働く人の意見から生まれたそうで、こうした現場の意見を商品開発に活かす取り組みにも驚かされました。
▲蛇口周りの洗面エリアの台も収納可能。できる限り障害物をなくし、移動しやすく点灯しにくくするため、きめ細かな心配りが。
▲介護される人はずっと上向き。上を向いたままでも光が直接目に入らないよう、ライトが斜め向きに工夫されている
現場の声から生まれた最新の介護設備!気になる人はショールームへ
▲大容量排水が可能なタイプの浴槽。一気に排水できれば次の利用者に早く入浴してもらうことができるようになり、効率化につながる。
ここまで読んで頂ければわかりますが、1つ1つ全ての工夫は現場の声を積極的に吸い上げ、介護者と介護される利用者の立場になって綿密に考え抜かれた上で生み出された最新の介護設備だということがわかりました。
今回取材させて頂いた「wells‐ウェルス‐」のショールームには、他にも一気に排水して利用回転率を上げるタイプなどの介護用だけでなく、一般家庭向けのシステムバスなど様々なシリーズが展示されています。最先端の介護・自立支援設備の浴室を見たい方は、ぜひ一度ショールームに足を運んで体感ください。